豆の宝石
知り合いのマダムが、「お茶をしようと思って待っていたのよ〜♪」と出してくださったのは、「かさね」という名の羊羹。
大阪府吹田市「千里山 柏屋」さんのギフトだそうです。
3センチ四方ほどの羊羹は、唐長文様のテーブルとラリックのプレートに盛りつけられて、煌めく宝石のように映りました。
一つひとつの羊羹が、すべて異なる意匠と食材の配合で作られ、月ごとに5種ずつ箱に収まっておりました。
上の写真は「水無月のかさね」がテーマ。豆は白小豆、うすいえんどう、ひよこ豆、えんどう豆を使われています。梅酒の梅やラズベリー、ホウレンソウなど、おそらく羊羹とは無縁な食材を小さな四角い宇宙の中に、それはそれは見事に描き出されているのです。
羊羹の名前「かさね」の由来は、平安王朝「襲の色目」の美意識を、異なる複数の餡を組み合わせて表現した羊羹だから、とのこと。「それぞれの味わい、風味、色合いの重なりを目でも舌でも楽しめるよう仕上げました」と書かれていました。
緊張のあまり、手がすくんでおりましたら、「豆好きさんだから、たくさんどうぞ」とお声かけくださり、〈新緑〉〈青紅葉〉という2つのお味をご馳走になりました。
冷蔵庫から出して見せてくださり、うれしさのあまりモタモタしていたのが功を奏し、餡と豆の味がちょうど良い加減に開いておりました。小宇宙を黒文字で1/4くらいずつ口に運ぶと、サツマイモの味や生姜の味が舌の上にのっかって、ふわりとほどけていくようでした。
この羊羹「かさね」は、
「柏屋」店主の松尾英明さんと、「染司よしおか」五代目当主 吉岡幸雄さんのコラボレートで出来上がったものだとお聞きしました。
あぁ、こんなにも儚く麗しい。世界に誇りたい日本の手仕事の粋を感じて思わず、目にしめりと潤いをおぼえました。あぁ、うっとり。
バレンタインデーの頃に、パリやウィーンからやってくる王子さまのようなショコラティエの皆さま方にも、見せて差し上げたい気が致します。
豆の芸術‥‥宇宙のきらめきを味わわせていただきました。いつか、自分でも買いに上がりたいと思いました。
Sさまのおかげで、豆の宝石を体感することができました。ありがとうございます。
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