おからや熊谷(2)
2回目に訪れた「おからや 熊谷」さんは、運悪く店休日でしたから、3回目は書き写してきた携帯電話の番号に予約を入れ、万全を期して伏見まで出かけました。
冬の寒い日でした。熊谷さんは、開いてる日も閉まっていました。店の前の長椅子に、もめん豆腐や厚揚げ、おからなどが並んでいて、商品を求める人々が小さな椅子の商品を手にすると「すみません、これください」と声をかけます。
お客さんの姿が見えると、ご主人はお地蔵さまのような柔和な笑顔で店先に出られ、商品を渡してお金をいただかれます。旧き佳き時代のお商売のかたちが、そっくり現在(いま)に生きている、そんな感じの豆腐屋さんです。
〜 店は見世である。平安末期に登場した、店舗の原形の呼び方が「見世」、あるいは「棚」。これが、鎌倉時代に「見世棚」となり、室町・江戸に至って、「店」として成立する。「店」の字を「たな」と読むのは、このためである。もともと「店」は、時代の動向を反映するさまざまな商品を、見せるための棚という空間を意味していたのである。〜
これは、私の敬愛する「風力図鑑/オールファッションアート研究所の15年」という本に記された文です。
「おからや 熊谷」さんは、奇をてらうことなく研ぎ澄まされた商品だけを並べられ、その商品は買われて行った先々で、素材として活きることによって完成するのでしょう。
見世の「世」は、現代の様々な食卓を指していて、豆腐は平然と世をながめ(おなかの中に)消えていくのかもしれません。
例えば、もめん豆腐。もめんなのに、ふわふわとやわらかいのです。ひとたび湯にくぐらせれば、ゆらゆら揺れて、おそらく小豆を箸でつかめない人には、形あるまま浸け汁の器にすら運べません。そこでホロリと崩れても、舌の上にのっかれば上顎と舌だけで咀嚼して飲み込んでしまいたくなります。
生醤油で、ネギと生姜を添えて、汁(つゆ)にくぐらせて、豆腐は幾通りにも味を変えます。恵那の畑で育った大豆が、伏見の水と出合って甘く(うまく)なる。伏見の酒が「おんな酒」と呼ばれるように、伏見の水で作る豆腐だから、キメ細やかでなめらかな、べっぴん豆腐が生まれるのかもしれません。
厚揚げも、おからも、熊谷さんが作ったものは、皆やさしい味がします。
とうふ屋 四代目の熊谷靖之さん。「豆を好きな人に、悪い人はいない」、かけてくださった言葉を、豆好きへのエールと受けとめました。
「おからや 熊谷」の熊谷さんは、とうふ師である。そう思ったエピソードは、次回また改めて。「とうふ料理の昼膳」では、満月とうふをいただきます。
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コメント
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辻本の親分、こんばんは。
豆腐フェアのホームページを見ました。
なるほど、東北応援フェアなのですね。
あれから1年。
とても長い1年でした。。。
投稿: のどか | 2012年3月 9日 (金) 01時03分
2012豆腐フェアが東京で開かれるの知ってましたか?
全国の豆腐が大集合らしいです。
http://tofufea.jp/
見て見てね!
投稿: 辻本 | 2012年3月 7日 (水) 23時39分