« 北海道へ豆探検 その4 | トップページ | 北海道へ豆探検 その6 »

北海道へ豆探検 その5

北海道上士幌町の村上農場体験記、その5回目。クライマックスを書きたくて、長くなりそうで先延ばしにしていました。これから書きます。

私に農場体験の好機を与えてくださったのは、村上知之農場長と、奥さまである智華さんのおかげ。そのお二人に引合わせてくださったのは、辻本の親分です。良いご縁をいただきました。


Fscn4671Dscn4600「1度でいいから農場長の子分になって、下働きをしてみたいです」と、ちかさんのブログにコメントを入れた時から、コトは始まっていました。書いたことは自分への暗示となって、いずれは実現するものなんです。

四半世紀を農業に費やしてこられた村上知之農場長。その手は日々、土と格闘し、農作物に向き合い、腰を据えて誠実に、力の限りを尽くしてきたことを物語る手。太い指や、洗っても汚れがとれない指先、シワの中まで日焼けした誤摩化しのない男の手です。


Dscn4681_2中長うずら

農場体験3日目の午後、収穫して畑に天日干しにされた中長うずらの脱穀を手伝わせていただきました。実際の畑での様子を収めた写真はありません。

うずら豆は蔓性(つるせい)の豆で、何にでも蔓を伸ばします。畑の隣に育つ大豆「北むすめ」にまで、その蔓は巻き付いていたほど。あまりにも手がかかるので、一般の農家は手を出したがらない豆だそうです。


Dscn4633_2この写真の右端に、うずら模様の入った莢(さや)が写っています。

10cm前後の莢の中に、うずら豆が入っているのですが、豆を穫るために一体どれだけのいらない枝葉がついてくることか‥‥

豆収穫と脱穀用の大型コンバインに乗せていただきました。と言っても、操縦されるのは農場長で、私はトラクターにつながるコンバインの横に立ち、大量にやってきた収穫物が機械に詰まらないよう、手で調整する役。

「詰まらないように」と言われていたのに、何度機械を詰まらせたことか‥‥ 「大丈夫。誰がやっても詰まらせるから」と言ってもらったのが、せめてもの救い。
慣れた人なら、目で見るだけでなく、音を聞き分けて、詰まる前に調整できるそう。私はダメでした。

機械が詰まると作業が止まります。その度に、機械のメンテナンス。詰まった蔓や葉っぱなどを引っ張り出し、畑に還します。
コンバインには、無数のカッタ−がついたローラーが2つあり、手前も奥も、どっちも詰まってしまいます。まるで、掃除機の吸込み口のローラーに髪の毛がグルグル巻きになったような感じで、ひたすら取るしかありません。


あと5列、4列、3列、と落とす豆の列は減っていくけど、詰まるたびに作業は中断。「あぁあ゛〜、またやん。もぅ、どげんすっか〜(焦ったら、思考回路は八女弁に)」


Dscn4576この機械の白いところの横に立ち、緑のところを流れていく中長うずらの蔓と莢を見守り、時々手を貸しました。

あんまり詰まるから、史上最悪の詰まりになった時、農場長は1回だけ白い扉を蹴りました。私のせいです。ごめんなさい。

助手なのか問題児なのかわかりませんが、そうやって半日ほど、同じ畑で同じ機械に閉口しながら働かせてもらい、すべての中長うずらを落とし終えた(脱穀した)時の爽快感と言ったら‥‥ 泣きそうでした。

その時、私は農場長の子分になれた気がしました。


Dscn4591機械に乗ると、振動と機械音が全身に響きます。この恰好にマスクまでして、ホコリを吸わないよう努めたけど、終わった時は、顔中の穴が真っ黒気。

鼻の穴はもちろん、何度洗っても目から黒い汚れが出てきて、耳の穴も黒くなり、鼻の下に吹き出物ができ始めました。気力はあっても、身体は根性ナシ。農業の大変さを改めて痛感した1日でした。

役に立ったのか、手こずらせただけなのか‥‥
今も、どっちかわかりません。

« 北海道へ豆探検 その4 | トップページ | 北海道へ豆探検 その6 »

豆・豆料理探検」カテゴリの記事

コメント

ちかさん、こんにちは。

長いコメントを入れてくださって、ありがとうございます。
皆さんの仕事を見ていたら、収穫を終えた畑に弾け飛ぶ豆粒が、惜しくてたまりませんでした。仕事を終えて、こっそり拾いに行こうか‥‥ 朝、早出をして畝を拾って歩こうか‥‥ 結局、どっちも実現できませんでした。

ジャガイモがコロコロ転がるのも、気になって仕方ありませんでした。落ちた芋がB品になったり、デンプンになったりするのなら、もらって食べてもいいですか? と、転がったジャガイモを何度集めたことか‥‥ 結局、毎回、気がつけば集めた芋は、デンプン用の大袋に入っていました。

大型農家も、小規模にも満たない零細農家も、ふつうに生活できるくらい農業の仕組みが整うことを願います。朝から晩まで夜中まで働いて、それでも食べていけずに外に働きに出る両親を、幼い頃から見て育ちました。

いまも、時々実家から米や梅ぼし、ジャガイモや玉ネギが送られてきます。ありがたいことです。

今回の体験で、母の偉大さを改めて思いました。自分の親を言うのもヘンですが、私は母を尊敬しています。あ、チチも好きです。いい人ですよ。

のどかさん、お疲れさまでした!!

農場も私もすっかりお世話になりました。
ありがとうございました。

実は度のエントリーのコメントは全部に書きたのですが、採点先生みたいになってしまうので、我慢(笑)
どのエントリーにしようか迷って、のどかさんのコメントを拝見してこちら決めました。
(「美人妻」の甘い誘惑にも惹かれましたが、)


今の農業は経済優先です。
利益の追求をしなければ大型農家でも潰れます。
保障されているように見えるのはまやかしで、十勝では画一に物事を進めなければ、農業は成り立たないのです。
その農業にはクリエィティブさより、足並みをそろえる事や量産が要求されます。

そこから抜け出したくて、差別化・付加価値などと言っても、特別なものが簡単に作れる訳もなく、そして簡単に売れる訳でもありません。

でも、私たちは右から左に流している訳ではなく、何もない所から物を作っているのです。
だからこそ、その先にも可能性があると思います。

ものを生める“生産者”として、今ないものを作る、そんな仕事がしたいなぁと思います。

農産物を通して、私達は自分の生き方や人生を伝えなければなりません。
そんなエネルギーある農産物を作ること、売ること、表現することはのどかさんの仰る、クリエィティブと言う言葉に繋がるもの、そう思います。

これからもどうぞよろしくお願い致します。
そして、また“研修”にいらしてくださいね!!

辻本の親分、おはようございます。

今回、村上農場にお世話になって、
「農業はクリエィティブな仕事」と思いました。

兼業農家をしている実家の田畑を少しだけ手伝ったときは思いもしなかったことを、たくさん気付かせていただきました。

農場長やちかさん、スタッフの坂口さんなど、ホントすごくクリエィティブな仕事をされます。よい刺激をたくさんいただきました。

可奈さん、おはようございます。

いつも拙いブログを読んでくださって、ありがとうございます。
京都の秋とキモノ姿、似合うと思います。可奈さんとキモノデート、したいですね〜♪

のどかさんの農業体験記、楽しく読ませてもらいました。穴という穴が真っ黒に、私も体験しています。農業は、やって見ないと解らないことが多いですよね。傍目には簡単に見えてしまう・・・農家をつぶさないで欲しい、みんなで農家に手伝いに行って欲しいと思う今日この頃です。

のどかさん、こんにちは。
あれれ、昨夜遅くにコメント入れてたんですが、
何故か消えているような・・・・
のどかさんのブログのおかげで、農業のこと、豆の収穫etc・・・・いろいろ勉強になることが多いです。
昨日は文化の日でしたね!?
京都のお天気は良かったですか^^

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 北海道へ豆探検 その5:

« 北海道へ豆探検 その4 | トップページ | 北海道へ豆探検 その6 »