« スローフードとイスラエルの豆料理 | トップページ | スローフードジャパン 全国大会(2) »

スローフードジャパン 全国大会(1)

昨日の予告、スローフード全国大会について書きます。
一緒に参加した友人・めぐりんさんのブログにも、このことが書かれているので、興味のある方は合わせてご覧ください。

3月6日(土)、スローフードジャパン全国大会 in 奈良にて、島村菜津さんと馬場基(はじめ)さんの講演を聴きました。

Dscn7663島村菜津さん(福岡出身)

島村さんは本場・イタリアからスローフードのいろはを日本に持ち込み、広めた方です。今も全国各地を飛び回り、スローフードの啓蒙活動や著作に取り組んでおられます。
私が島村さんに興味を覚えたのは、同じ福岡のご出身であられることと、作家として大成されていることがきっかけです。ナマの講演をお聴きするのは初めてでした。自分の考えをしっかり持ち、世に広めることに専心しておられる姿を素晴らしいと思います。

島村さんの講演の要旨は3つ。
1)中国餃子事件が日本にもたらした影響は、食材を遠くから運んでくることのリスクを考えるキッカケをつくったこと。
 遠くから運ぶためには燃料が必要で、二酸化炭素を排出する。生産現場の安全性は計りにくく、ホストハーベストの心配もある。
 例えば、コーヒー。エクアドルのコーヒー園で「コーヒーの世界市場は大手5〜7社で占めている。価格を安くするために、かけたくない薬品をかけ、青い実も摘まなければならない」と聞いた。

2)子どもたちに食の安全、大切さを教えていこう。
 食事をつくらない母親たち、「野菜は高いから」と食卓に上がらないこと、「栄養があるはず」とスポーツドリンクを飲ませつづけた3歳児の乳歯がボロボロだったこと‥‥、大人が子どもたちの目の前で安全な食べ物を「おいしいね」と口コミで伝えていってほしい。

3)インドのバンダナ・シバ(環境活動家)の言葉で、遺伝子組替食品の脅威を知った。日本の食料の6割は輸入に頼っている。そこには遺伝子組替えでつくられた食品がどれくらい含まれていることか? 遺伝子組替え食品は環境に負荷をかけ、生物対応性のバランスを損ねてしまう。


「スローフードはイタリアから始まった生きるための哲学」と司会の方が言われていました。
「良い物を一所懸命つくっている生産者を支えよう。ちょっとした意識変化で、自然保護も環境保護も知らず知らずのうちにできていくようになっていく」と島村さんは言われました。

私は兼業農家の二女です。実家では今も、米と少しの野菜をつくっています。自然が相手の農作物を安全かつ安定的につくることは、とても大変です。労働力を時給いくらと計算したら、農家が食べていくのは困難だと思いました。かつて国家の農業政策に大きな疑問を感じ、家業に背を向けていた親不孝者です。

島村さんいわく「日本食の核となる大豆(味噌、醤油、豆腐などをつくる)でさえ、国内では3〜5%程度の生産量しかありません。昔は自給していた菜種も今では0.03%の生産量です」。

気がつけば私は、北海道や山形、岩手、丹波や佐賀などの豆を、しょっちゅう使っています。
豆を煮たり、味噌をつくったり、ピザやケーキを焼いたり、‥‥知らず知らずのうちに、自分も少しばかりスローフード的なことをしていたんだなと思いました。

そんなことを考えながら、今日は北海道の「とよまさり」大豆を使って、味噌を仕込みました。夏の終わり頃まで、熟成を楽しみに待ちます。

馬場さんの講演については、明日 書きます。

« スローフードとイスラエルの豆料理 | トップページ | スローフードジャパン 全国大会(2) »

たまには専門的な話を」カテゴリの記事

コメント

辻本の親分さん、こんばんは。

お赤飯、私も2年くらい前まで自分で炊くことなんて、かないませんでした。
とても難しくて、自分とは無縁のことのように思っていました。

お赤飯は買うもの、そう思っている人が大半かもしれません。
お赤飯もアンコも味噌も、自分でつくるようになると、幅が広がりますよね。慣れるとそんなに難しくないし‥‥

お赤飯運動、いいかもしれません。
親分、一緒にやりましょう。

ちかさん、こんばんは。

「うねりの中の一部になって甘んじるか、自分が新しいうねりを作るか」、なんとカッコいいお言葉でしょう。

ちかさんは、もちろん後者ですね。私も豆のうねりをつくりたい。豆はやさしくて、かわいくて、おいしくもなるし、へたっぴいでも楽しめるし、なんだか好きなのです。

生産者や販売に携わる方たちの真剣さとは違ったところで、
「豆を愛し、豆のことを学び、豆料理を広めることを喜びとする」、それが今のところ、私のスタンスです。

いろんな人と、豆についてもっともっと話しがしたいです。

藤下さん、コメントを入れてくださって、ありがとうございます。

尊敬だなんて、もったいないお言葉です。
「道楽は極めてこそ道楽」と言いながら、どこに行っても豆を追っかけています。

豆・豆料理探検家とは名ばかりで、本業がなければ道楽もできません。京都でも、新しいクライアントと巡り合いた〜い。

可奈さん、こんばんは。

作り手と消費者の関係、‥‥消費者は顔が見えない相手には手厳しいように思います。

可奈さんとこのお菓子、ちかさんとこのじゃがいも、親分の豆、誰々さんの○○、そう思うと1粒も無駄にできません。

両親が米づくりをしてくれていたおかげで、私はごはんを残さず食べる子になりました。

のどかさん、ご苦労様でした。こんなに解りやすくお話をして頂いて感謝です。私達が次の世代に渡さなければ行けない物がたくさんあります。先日の高校生との会話でも驚いた事がありました。今の家庭ではお祝いでもお赤飯を作らないようです。このままでは、小豆はあんこでしか認知されなくなるような危険を感じました。小学校の給食で毎月1日と15日はお赤飯の日にする「おふれい」を出してもらえないでしょうか・・・のどか大臣宜しくお願いします。


菜津さんの三項目に当てはまるように、日本人は今、食のバックグラウンドを気にしなくなってしまいました。

私は、「生産者を支える事」はもちろん、その逆の「生産者に支えられる事」への意識もバックグラウンドを意識する為には大事な事だと思います。

知ってしまった責任を果たす為に生産者である自分に何ができるのか、消費者である自分に何ができるのか。

うねりの中の一部になって甘んじるか、自分が新しいうねりを作るか。

上手く言えないのですけれど。
実行するべき事は沢山あります。

お元気そうですね。

京都に行ってもアクティブに活動されている貴女を尊敬致します。

のどかさん、こんにちは。
お近くだったら私も参加して勉強してみたかったです。
消費者の方は安全で安心な食を求める、そして更に低価格のものを望む。それを全部満たそうとすると様々な問題点や歪みも生まれてしまうことも多いです。
企業は、利益を出さなければ継続していけない、社員の方々を路頭に迷わせてはならないという責任もあります。
深く考える点が多々あります。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: スローフードジャパン 全国大会(1):

« スローフードとイスラエルの豆料理 | トップページ | スローフードジャパン 全国大会(2) »